働き方上手さんの言語化術:実践編で紹介している、現在制作中の株式会社リブレ企業広告の言語化紐解き。3枚組の広告の2枚目は家の「内部」の話です。
実際にリブレが建てた家にお邪魔してみると、気持ちいい外への抜けが特徴の外観と同様、内部空間も空間同士が緩やかにつながり、全体としての一体感を感じられます。その理由は、まずは窓などの開口部が大きく外とつながっている感が強いこと。そして光を取り込むから明るい。その明るさが際立たせていたのが、内部の空間同士のつながりでした。塞ぐ必要のない部分は適度に抜けを作ることで、部屋同士に緩やかな一体感が生まれるのです。
空間を気持ちよくつなぐ。それによって、心と心をつなぐ。
内から外への抜け感、そして内同士の抜け感。このハード面の意匠を、住む人の情緒的な価値に置き換えるとどうなるか?空間同士が気持ちよくつながっているということは、そこに住まう家族同士の心も気持ちよくつながるということではないか。という視点でこの原稿のメインコピーは生まれました。
「個室」というのは個人の内面のメタファーであり、「個室同士の抜けのよさ」とはすなわち家族同士の心理的な風通しのよさを住む人に連想させます。居住空間の設計とは、これから何十年もの間の家族関係のマインドセットを規定することでもあるのです。
内部の空間同士をゆるやかにつなげながらも、目線は遮ることでパーソナルスペースも同時に確保する。この絶妙のバランス設計こそが、リブレの空間設計。そしてそれは「家族の心地よい距離感を設計する」という作業であるともいえるのです。
意匠を、言語化する。
このように、コピーライティングとは「伝えたいことを上手に言語化」する技術ではなく、実際のプロダクトに込められた意図を言語化する仕事です。オリエンシートに書かれたことではなく、プロダクトに込められた「意匠」を読み取り、言語化する。ここでは、書く力の前に「意匠の読解力」が重要になってきます。
さらにもう一つ、コピーの役割として挙げるとするならばそれは、購入者が体験している世界を購入前の人に「垣間見せる」こと。家の広告であれば、実際に住み始めてはじめて気づく「感動」を先回りして購入前の人に教える。コピーライティングの文字が伝えるのは、スペックではなく、それによって生まれる体験価値なのです。