コピーとは約束である。生活者との「素敵な約束」が織りなす豊かな社会。

広告コピーとは上手いことを言って消費者を騙すテクニックではなく「受け手との素敵な約束」を結ぶもの。そもそも約束できる提供価値がなければ、コピーも作りようがありません。最近では広告のクリエイティブチームが商品開発(=素敵な約束の土台づくり)から関わるケースも増えています。

コピーというとすぐに「キャッチコピー」を考えてしまいがちですが、惹きの強い言葉と本当に伝えるべき言葉は両立しないことが多く、落としどころである「タグライン」とセットにするのがセオリー。前段のキャッチコピーやビジュアルが喚起した感情を、回収する一行。考える順序としてはキャッチよりも、「着地点」であるタグラインを先に決める方がスムーズです。

生活者との「素敵な約束」を結ぶタグラインコピー

生活者とブランドの素敵な約束は、主に「ベネフィット=便益」を通じて交わされます。たとえば「お口の恋人」であるロッテがある限り、生活者である私たちは「口寂しい」状態を味わう心配がなくなります。この「お口の恋人」にあたるコピーを、タグラインやブランドスローガンと呼びます。

JR東海の「そうだ 京都、行こう。」という不朽のキャンペーンタグラインは、「ふと思い立った時に、すぐにお客さまを京都までお連れできるよう万全の準備をします」という約束。キャッチとなる名所のビジュアルは季節ごとに変われど、芯の部分の「素敵な約束=タグライン」は何十年に渡り不変です。

ブランドと生活者の「素敵な約束」を一行で指し示すタグラインは、表現の高い抽象度と具体的なベネフィット提示の両立が求められる究極の言語化。レトリックなどの技法によって、一つの言葉に複数の意味合いを掛け合わせて詰め込むという「言葉の圧縮技術」がふんだんに使われている現場でもあります。

「素敵な約束」が織りなす豊かな社会

ブランドの一つひとつが生活者との「素敵な約束」を交わしている、という状態は視点を変えればそれ自体が現代社会の豊穣な「豊かさ」そのもの。衣食住、あらゆる領域で人々をちょっと幸せにするブランドがくまなく存在していることに改めて思いを馳せれば、広告のコピーもイキイキと見えてきます。

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