アイデアにも、生みの責任と育ての責任。働き方上手さんの「アイデア整形術」

前回まではアイデアの「仕込み」の話でしたが、今回はいよいよアイデアを生み出す段階。無垢なアイデアにとって、この段階が一番の試練。発注者に採用されないというリスクの前に、そもそも生み出した制作者が真価を見極められず、ボツにさせられてしまうことも多いからです。

情報の仕込み・熟成を経てせっかく意識の中で結晶化したアイデアの原石も、磨き上げなければただの石ころ。気づかず捨ててしまうことも。最後の「磨き」作業を怠ってすべてを台無しにしないためには、原石を宝石にするコツを知っておく必要があります。

働き方上手さんの「アイデア整形術」

発想をつかんだ瞬間は「解決した!」と手ごたえがあっても、文字に起こしてみるとしっくりこない。そんな時はアイデア自体は間違ってないことが多いので、同じことを別のアングルや逆の順番で表現してみましょう。「韻」をふむなどレトリックを使えばキマる、ということもあります。

深い思考を経てたどり着いたビッグアイデア(のようなもの)は、建物でいえば「柱」にあたります。柱だけではそれが教会なのか美術館なのかは分からないので、いくつかの柱の間を壁で埋めていく作業が必要です。これは生み出したアイデアの凄さをワクワクしながら再発見し、確かめていく作業です。

思索の過程で発見したいくつかの視点がコア・アイデアとして使えなくても、捨てる必要はありません。柱にはならなくても、窓やドアノブとしてキラリと光る存在になってくれることが多いからです。広告コピーの場合、これらの視点はボディコピーにまぶしていくと「何度でも読みたい」広告文になります。

生まれたばかりのナイーブなアイデアを社会に適応させるには、実際の露出場所に立たせてみるのも一手。ポスターなら実際の背景を撮って、コピーを当てはめてみる。天才CMプランナーといわれた佐藤雅彦さんは、何も映らないテレビを見つめながら企画を考えていたといいます。完成形からの逆算ですね。

アイデアにも、生みの責任と育ての責任。

せっかく生まれた天才児のようなアイデアも、そのままでは社会に出られません。社会のルールや規範に沿ってその才能を発揮できるように大切に育てていく必要があります。夜中思いついた時は凄かったのに、昼間見たらそうでもなかった。という時はビッグアイデアを手にする一歩手前かもしれません

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