遠きにありて想うもの。抽象的思考力を高める、超具体的アプローチ

「ふるさとは、遠きにありて想うもの」という言葉があります。親のありがたみや大切さは、ひとつ屋根の下で一緒に暮らしている時にはなかなか感じられず、親元から離れた時に初めて分かるもの。多くの人に共通するこの感覚には、距離が離れてしまったことによる寂しさといった気持ちの問題だけでなく、私たちの脳の仕組みも影響しているのかもしれません。興味深い実験結果をご紹介します。

大事な相談は、遠くの人に頼るべし!?

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その実験は米国のインディアナ州の大学で行われました。学生を2つのグループに分けて同じ課題を与えるのですが、1つ目のグループには「これはインディアナ州で起きている問題です」と伝え、もう一方のグループには「これは遠くカリフォルニア州で起きている問題です」と伝えました。その結果、後者の大学から3,200km離れたカリフォルニア州の問題として課題に取り組んだグループの方がはるかに抜本的でクリエイティブな解答を導き出したのでした。

距離が遠くに感じるほど、より抽象的な思考ができるようになるという人間の傾向は「解釈レベル(CLT=Construal Level Theory)理論」として心理学では知られており、私たちは自分から遠く離れた問題の方が、柔軟で幅広い思考ができるようになるということです。大事な相談ほど、なるべく客観的に話を聞いてくれる遠くの人を頼るようにすればよいかもしれませんね。

遠距離恋愛は、関係性をつくるチャンスかも。

こうして考えてみると、一般的に恋愛の障壁として捉えられがちな「遠距離恋愛」も実は、お互いの関係性を抜本的に見つめ直し、新たなふたりの絆を創造する画期的な手段なのかもしれません。JR東海がシンデレラ・エクスプレスキャンペーンで出した「距離にためされて、ふたりは強くなる。」という昔の名作コピーは、こうした真理を突いていたのですね。

人間に備わったこうした心理作用は、当然仕事においても応用できます。職場のデスクでどれだけ唸っても出てこない問題解決策にたどり着くためには、仕事のサイクルの中に積極的にワーケーションを取り入れてみるのもいいでしょう。あえて会社から遠く離れた場所に身を置くことで、かねてよりの問題も解決しつつ気分転換も図れるので、ダブルのスッキリ効果が得られます。

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