増加するワーケーションの補助金。その背景と各自治体の支援内容

ワーケーション補助金が増加している背景

ワーケーションの補助金が増加した背景として、2020年7月に当時内閣官房長官だった菅義偉氏が観光戦略実行推進会議の議論を受けて「ワーケーション」の普及を政府として後押しする考えを示したことがきっかけです。この観光戦略実行推進会議で提示されたのが、国立・国定公園、国民保養温泉地のキャンプ場・旅館・ホテル等の事業者、DMO(観光地域づくり法人)、地域協議会等に対し、企画や環境整備を支援するということです。

以前からワーケーションという言葉はありましたが、このタイミングで政府が発表した理由は、新型コロナウイルスの影響を受けた観光地の経済復興と地方を活性化させるためです。従来の日本の旅のスタイルは、特定の時期に一斉に休暇を取得するといった特徴がありました。しかし、ワーケーションをすることで休暇を分散取得し混雑を抑制することができます。また、新型コロナウイルスの感染拡大防止にもつながるため、コロナ禍における新しい旅のスタイルとして期待を寄せています。

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ワーケーション補助金の動向

政府は2021年度の観光庁関連予算案について、前年度から4割減となる408億7400万円で閣議決定をしました。ワーケーション関連の支援についての方針としては、テレワークを活用しリゾート・温泉地で余暇を楽しみつつ仕事を行う「ワーケーション」、出張機会を利用して余暇も楽しむ「プレジャー」、企業・団体の本拠地から離れたところに設置する「サテライトオフィス」の需要に対応した環境整備、普及啓発、旅行商品の造成支援を図ります。これらは「新たな旅のスタイル」促進事業として5億400万円の予算が計上され、別途ワーケーションの活性化にもつながる宿泊施設を核とした地域の新ビジネス展開の支援で1億円を計上しました。

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各自治体が支給する補助金・助成金の種類と情報

各自治体の支援内容の前に、補助金と助成金の違いについて簡単に整理します。

補助金とは

管轄は主に経済産業省や地方自治体で、「事業を通じて公益を達成する」ことに重点が置かれ、助成金と比べて種類が多く補助額が数百万円~数十億円まであります。支給のタイミングは自治体によって様々ですが、自費で支払い後補助金分が支払われます。主に企業や個人事業主向けが多いです。

助成金とは

管轄は主に厚生労働省で、「労働環境を整える」ことに重点が置かれ補助金と比べると種類は少ないです。補助額は数十万円~百万円と補助金と比べると低く、支払いは定額から助成金を引いた差額分を支払います。補助金と比べると申請も通りやすく、主に個人向けのものが多いです。

 

それでは具体的に、各自治体の支援内容を見ていきましょう。

北海道(函館市)の支援

名称:函館ワーケーションモニタリングツアー
実施期間:2021年8月・9月
対象自治体: 函館市 工業振興課
サイトURL:https://h-workation.jp/
対象者:(1)ワーケーションの導入を検討している企業
(2)ワーケーションを通じて地域との交流やビジネス的なつながりを求めている企業
参加条件:(1)企業に属している方
(2)1日目のオリエンテーションイベントと最終日の意見交換会に必ず参加
(3)最終日に体験コンテンツ、コワーキングスペース、ワーケーション等に関するアンケートに回答
対象経費:宿泊費一部負担
3泊4日16,500円 6泊7日33,000円(最大8泊9日まで)
※同伴者の同行も可能だが補助対象外
旅費:3泊4日 29,000円~58,000円
6泊7日 51,000~105,000円
※出発日やホテルにより料金は異なる
旅費に含まれるもの
往復航空券 / 宿泊代 / 食事代 / 指定のコワーキングスペース利用料 /消費税 /選べる体験プラン
1日目オリエンテーションイベントの宿泊施設までの貸切バス又はハイヤー利用料金
市電バス共通乗車券(2日目〜最終日)/オリエンテーションイベント、意見交換会の参加料
ワークスペース:無料(指定有り)
市内5カ所にコワーキングスペース有り

青森県(青森市)の支援

名称:移住体験・ワーケーション体験㏌青森圏域
実施期間:2021年4月1日~2022年3月19日
(2021年12月29日から2022年1月3日までの期間を除く)
対象自治体:青森市企画部企画調整課 新しい働き方推進室
サイトURL:https://www.city.aomori.aomori.jp/kikakuchousei/kurashi-guide/sumai/iju-teiju/otamesiijyu.html
対象者:(1)原則、青森県外に居住するかたで、青森圏域への移住を検討されている方
(2)移住体験期間中、1泊につき圏域内の市町村を1か所以上視察できる方
参加条件:移住体験1回につき1泊2日以上3泊4日以内とし、同一者の年度内の利用は2回まで
対象経費:宿泊費及び圏域市町村の視察に係る移動費は無料
※以下、参加者負担
・居住地と移住体験施設間の往復の交通費
・食事代、視察・体験に係る費用、その他移住体験施設外で要する経費
・寝具のレンタル料(移住体験施設に備え付けの寝具の利用は無料です。)

秋田県(全域)の支援

名称:ワーケーション実践団体奨励金交付事業
募集期間:2021年4月22日から2022年2月末
対象自治体: あきた未来創造部 移住・定住促進課
サイトURL:https://www.pref.akita.lg.jp/pages/archive/57262
対象者:(1)県外に本社、本店又は本部を置く企業または団体であること
(2)過去に本奨励金の交付を受けていないこと
参加条件:(1)秋田県内において、仕事と余暇活動を組み合わせて滞在すること
(2)秋田県内に所在する宿泊施設やレンタルオフィス等(シェアオフィスやコワーキングスペースを含み、
サテライトオフィス等の専ら自社社員の利用に供するために開設した施設、自社営業拠点及び
取引先事業所を除く)で仕事を行うこと
(3)秋田県内に連続して3泊以上滞在すること
(4)参加人数が原則3名以上(秋田県を除く東北5県からの参加においては5名以上)であること
(5)滞在期間中にワーケーションの様子をSNS等で紹介し、本県の魅力を拡散すること
また、終了後も社内等への広報宣伝に努めること
補助額:1企業又は1団体につき10万円

静岡県(静岡市)の支援

名称:令和3年度Move To しずおか「新しいビジネス様式」支援事業
実施期間:2021年4月1日~2022年2月28日
対象自治体:経済局 商工部 産業振興課 企業立地係
サイトURL:https://www.city.shizuoka.lg.jp/805_000001_00119.html
対象者:次の要件すべてに該当する法人(個人事業主を除く)
(1)本市に初進出すること(本市に拠点を有していないこと)
(2)本社が静岡県外で静岡市に新規進出する法人(本社所在地が静岡県外であること)
参加条件:指定の施設に1か月(30日)以上入居すること
※ドロップイン利用不可
対象経費:【賃 料】1か月分の利用額
【宿泊費】日額¥7,200まで×30日×2人分(実費、入居日以降の30日が対象)
【交通費】静岡市⇔勤務先 1往復 ×2人分(実費、1人あたり¥12,000まで)

広島県(全域)の支援

名称:宿泊事業者向け感染拡大防止対策等支援事業補助金
申請期間:2021年6月28日~2021年12月28日
※補助対象経費2021年5月14日~2021年12月28日までに支出した経費
対象自治体: 一般社団法人 広島県観光連盟
サイトURL:https://hiroshima-shukuhaku-shien.jp/
対象者:新たな観光需要を創出するための前向き投資事業
(1)広島県内に施設を設けている宿泊事業者
(2)旅館業法第3条第1項に規定する許可を受けた者
対象経費:ワーケーションに必要な整備
・無線LANの整備やワーケーションスペースの増設・改築
・テーブルや椅子などの什器類の購入 等
補助額:補助対象事業費 上限1,000万円 下限10万円
・申請日の前日までに支出した経費 補助率1/2以内
・申請日以降に支出する経費 補助率3/4以内

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